学科試験Ⅱ 対策
学科試験Ⅱ対策 予想問題 合計20問が完成しました。
編集の都合上、以下のWebサイトの方が充実しておりますので、可能であれば以下で詳細をご覧ください。
https://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
学科試験Ⅰは覚えることがたくさんあるが、覚えてしまえばどうにかなるものである。それにやればやるほど得点は上がるので努力すれば何とかなるという実感がわきやすい。
それにくらべて学科試験Ⅱは、やってみて出来ない人にはやっかいである。努力してみてもコツがつかめないしどんな勉強をしたら出来るようになるのかもわからなくなってしまう。
勉強を始めた人が、もっとも良く悩むのが「選択肢のうち2つに絞ることは出きるけど、最後の1つがどうしても正解しない...」ということである。そういう人は解説を見ても釈然としないことが多い。「この問題の時はAだったのに、どうしてこの問題の時はBなんだろう....」こんなふうに悩んだまま試験を受けたら自信を持って試験を受けれるはずがない。
学科試験Ⅱに慣れた人がどんなふうに問題を解くのか....実は慣れた人はいとも簡単に選択肢を1つに絞る。学科試験Ⅱに慣れた人は逐語記録を読んで選択肢を見るときに、ちゃーんと間違いの選択肢を消去出来るのである。そこにはその選択肢を消去する理由や理論があるのである。
まずは問題を解く上で大事なことから...
●学科試験Ⅱの問題を解く上でやっておいた方が良いこと
①問題文の最後に線を引いて、よ~く確認する。
勘違い程もったいないものはないが、結構勘違いをして解答を間違えてしまう人が多い。だから問題文の最後のところ、つまり「最も適切なものはどれか。」「適切なものはどれか。」「適切でないものはどれか。」「最も適切でないものはどれか。」「最も当てはまらないものはどれか。」「可能性が最も少ないのはどれか。」というところに線を引こう。これは絶対にやっておいて損はない。「最も....」という言葉が付いている時とそうでない時は大違いである。適切なものを選ぶだけなら、解答でない選択肢は全て適切でないことになるが、最も適切なものを選ぶのであれば、適切と言えるものが選択肢にいくつか存在するのである。だから当然のことであるが、「最も...」と書いてある場合は選択肢全てに目を通さないといけない。
②問題文や選択肢を良く読んで理解しよう。
例えば、営業職のクライエントが営業先である客先のニーズを正確に捉えていないことを反省している場合に....
カウンセラーの発言として
A:「お客様のニーズを正確に捉えることって大事なことなんですね。」
B:「お客様のニーズを正確に捉えることは大事なことです。」
この2つの言葉の違いは少ないがAとBは明らかに相手に与える印象が違う。
Aの場合:クライエントの言っていることに対して、「ふ~ん、そうなんですか。私も初めて認識しました。」という答え方であり、クライエントとカウンセラーの立場は同等もしくはカウンセラーの立場は下である。
Bの場合:クライエントの言っていることを正しく言い換えているので、一見良いように思われるが、クライエントに与える印象として「そうです。そんなことも知らなかったのですか?私は知ってましたよ。」という印象を与えかねない。カウンセラーが上の立場になってしまう。
ちょっとした言葉の違いが相手に与える印象を変えてしまう。音として声を聞いているのではなく、文章を読んでいるのでこういった文章の微妙な違いを見抜くのは結構難しい。読んでいるときには声に出すと周りのひんしゅくを買ってしまうが、頭の中で声に出して読めるように訓練しておいたほうが良いでしょう。
③国語の現代文の問題が出来る人は有利と言えば有利だが、必ずしもそうではない。
クライエントの気持ちや発言の正確さを聞いてくる問題が多いので、確かに国語の得意な人は有利かもしれない。しかしながら、それだけでは問題を解くことは出来ない。
以下の例を見てみよう。CLはクライエントの言葉、COはその相談にのっているカウンセラーの言葉である。
CL1 「だから、上司に相談してもいつも根性とか気合とかの言葉でごまかされてしまうんです。そんな簡単な問題じゃないのに...」
CO1 「 ★ 」
CL2 「そうですね。私は上司が嫌いです。だから...相談するときに態度に出てしまうのかもしれませんが....」
「★」に入るカウンセラーの言葉として適切なものはどちらか?
A:相談してもごまかされてしまうのですね。
B:あなたは上司が嫌いなのですか。
ここで★に入る言葉を考えると....CL2の発言に「私は上司が嫌いです。」の発言があるのだから、国語の問題ならばBとなるであろう。しかし、カウンセラーとして適切な言葉としては当然Aである。クライエントがもし上司を嫌いでないとすると、とんでもない誤解をしていることになるし、クライエントはその前の発言で上司が嫌いだとは一言も言っていない。場合によってはクライエントから自分の気持ちを理解してもらえないと感じて敬遠されてしまう。
国語力だけでは補えない。だから文章を正確に読んだ上で、カウンセラーとしての資質や正しい判断を考えることが重要である。
とはいえ国語力というより文章を正確に読み取る力というのは学科試験Ⅱでは結構大事である。だから残念ながら文章を正確に読み取る力が劣っている人にとっては結構厳しい試験になってしまうかもしれない。文章を読み取る力が劣っている人は、たくさん問題をこなして慣れておく必要があるが、カウンセラーとしての資質や正しい判断を問う問題も多いのであきらめずに....。ここの予想問題でもクライエントの気持ちを読み取る問題はこれからも掲載されるので、そこで慣れておくのも良いでしょう。
●クライエントの気持ちの理解の方法
①ため息や言葉のつまりは不安やもどかしさを表している。
ため息や言葉のつまり....例えば「う~ん.....」とか「はぁ~」とか「そうですねえ.....」とかそういった発言は満足感やスッキリ感をあらわしている言葉でないことが多い。だから不安やもどかしさを表現していると考えて良い。
②文脈から気持ちを読み取る
これは文章の読み取る力となってしまうが...クライエントが興奮している状態では話している内容がとんちんかんになりやすい。文章には表情や音としての言葉の抑揚は表されないので、そういったクライエントの気持ちを文章から読み取るのは難しいが、となると、問題としてはそこまで難しい問題は出てこない。ちゃんと文章内にクライエントの気持ちを表現している部分があるのでそれを客観的に理解することが必要である。わかりにくい人はクライエントの気持ちを表していると思われるところに読みながら線を引いていくと良い。
●カウンセラーとしての判断力を問う問題の解き方
カウンセラーの適切な発言や適切な態度を問う問題に対して、以下のようなことを頭に入れておくと良い。
①問題に対する提案や判断を下す発言は正解になりにくい。
これまでの出題の逐語記録は圧倒的に「クライエントがカウンセラーに相談してからあまり時間が経過していない、もしくは初めて相談にのるとき」の状況のものが多い。そういった逐語記録で出てくる間違いの選択肢として、
「それでは早速産業医に相談してみましょう。」
「そういう場合はすぐに上司にそれを伝えるべきです。」
こんな発言は問題文が無くても「間違いじゃないの...」と思える。十分にクライエントの感情を理解しないまま次の判断に移ろうとする発言はたいてい間違いである。
②一般的理論は発言として言わない。
クライエントが相談している過程で、カウンセラーがついつい発言してしまいそうな一般的な事項である。例えば、
A:「上司というのはそういうものですよ。」
B:「その程度の人間関係の歪はどこにでもあります。」
C:「事務職とはそういうものです。」
Bは「その程度」という表現でクライエントの悩みを見下しているところがあるので、Bは間違いとして見抜きやすい。しかし上記A~Cは確実にカウンセラーの考えている一般的な事項である。こういった表現は正解になりにくい。
③クライエントに寄り添う形式の発言を選択する。
④カウンセラーとしての権限を考える。
⑤相手の自発的な行動に任せる発言を選択する。だからといって問題を放置するような発言は避ける。
「もう少し時間をおいてみましょう。」「本人の自覚に任せましょう。」といった発言は、正解とはなりにくい。
⑥人間関係が問題の時は、クライエントやクライエントにとって敵である存在に対して、どちらかの肩を持つような発言は避ける。
「やはりそれは上司の考え方に問題があるでしょう。」「あなたの実行したことに間違いはなく、相手に問題があります。」といったどちらかの肩を持つ発言は不適切とされることが多い。
⑦クライエントの表現を言い換えた発言はたいていの場合はOK。だけど、「最も適切な表現」と問われている時はそのまま言い換えた表現よりもより適切なものがある可能性を考える。
と、こんなことを頭にいれて問題を解いていくと段々と出来るようになります。