学科試験Ⅱ 予想問題
学科2
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https://www3.hp-ez.com/hp/sangyoucounseller/page1
逐語記録1-1 次の逐語記録を読み、問題に答えなさい。
クライエント(CL):広報部 部長(48歳男性)
カウンセラー(CO):企業相談室の産業カウンセラー(35歳男性)
CL1:お久しぶりです。私がここに来た時に初めてお会いしたので、その時以来ですね。
CO1:そうですね。ということはあれから3年も経ったことになるのですね。
CL2:早いものですねえ....あの頃は広報部を立ち上げたばかりでしたので部の方針とか規則とかを決めなければならなかったから大変でしたね。でも仲間と協調して物事をつくりあげていく良い勉強になりましたよ。
CO2:確かにあの時は大変そうでしたね。でもあの頃の努力のおかげで今の広報部は会社の収益向上にかなり貢献されているようですね。
CL3:あの頃の仲間も...もう定年退職をして4人がいなくなりました。最近は少しあの頃の事を思い出して寂しくなったりしますね。でも、今年は元気で活発な新入社員がうちの広報部にも入ってきてくれたので私も彼らに元気をもらったりしています。ただ...元気で活発なのは良いのですが......
CO3:[ ]
CL4:新入社員は合計4人で、それぞれとても優秀で仲も良くて、今は部内の雰囲気も大変良いのです。私はそんな雰囲気を壊してしまいたくないと思っているのです。
CO4:[ ]
CL5:ところが4人ともですね......新人類といったら古い言葉になるかもしれませんが、それぞれの自分の仕事に壁をつくっているというか.....いまいちやる気が見えないというか.....どうも熱意のようなものが感じられないのです。
CO5:新入社員の方々とは仕事以外のことでゆっくり話す機会はありましたか。
CL6:実はほとんどありません。一度私が彼らの歓迎会の時に有名な広告代理店の人が書いている本の話をしたことがあります。その時は熱心に聞いてくれているようでしたが、それ以来はそういった話をする機会も無くて.....
CO6:仕事をしている時には話をしていると思いますが、その時の雰囲気はどうですか。
CL7:それがとても良い感じなのですよ。自分の家族のこととか友達のこととかも話してくれますし冗談を言ったりすることもあります。この間も私が会社を休んだ時などは色々と心配してくれたようで....皆性格の良い子で感心させられるくらいなんです。
CO7:[ ]
CL8:やっぱりそれでも彼らにはもっと成長してほしいというか.....もっと多面的な能力をもってほしいというか......ちょっと彼らは向上心が欠けているように思えます。
CO8:彼ら、つまり新入社員の方々とのコミュニケーションをもっと充実させたいということなのですね。
CL9:うーん.....確かにそれもあるのでしょうけど.....
CO9:仕事が終わった後に新入社員の方々とお話しする機会はないのですか。
CL10:それが彼らは自分の仕事が終わるとさっさと帰ってしまうのです。確かにその日の仕事はきっちり終えてから帰るので問題はないので、何か注意をするわけにもいかないし.....一度仕事が終わった後に新入社員の一人に今の仕事の面白さとかそういった事を聞いてみたことがあったのですが、何だか嫌がられているみたいでしたので、途中で帰らせてしまいました。
問題1:CL3の発言に込められている思いのうち、最も適切なものはどれか。
ア:広報部を一緒に立ち上げたときの仲間が退職してしまったのでさみしい。
イ:元気で活発な新入社員が入ってきてくれてよかった。
ウ:活発な新入社員達に対して、何らかの不満がある。
エ:辞めてしまった仲間と比べると新入社員は活発で頼もしい。
オ:活発な新入社員達の雰囲気にいらだちを感じている。
問題2:CO3の空欄に入る応答として、最も適切なものはどれか。
ア:やっぱり辞めてしまった仲間のことを思い出すとさみしいのですね。
イ:新入社員の方々に何か問題があるのですか。
ウ:新入社員の方々はどのような方々ですか。
エ:新しい人間関係を構築するのは大変なことですよ。
オ:新入社員を扱うのはどこの組織でも苦労しているようですよ。
問題3:CO4の空欄に入る応答として、最も適切なものはどれか。
ア:部内の雰囲気を壊してしまうこととはどのようなことなのでしょうか。
イ:部内の雰囲気を大事にしたいとお考えなのですね。
ウ:部内の雰囲気は社員のモチベーションにつながりますからね。
エ:部内の雰囲気よりも重視すべきことがあるのではないでしょうか。
オ:部内の雰囲気を良くしようと努力されている新入社員の方々の気持ちを考えたことはありますか。
問題4:CO5のカウンセラーの発言は適切ではない。次の記述のうち、その理由としてあてはまるものすべての組み合わせはどれか。
A:CO5のカウンセラーの発言は、このカウンセリングの流れを変えているから。
B:カウンセラーは、クライエントの感情表現を持てていないから。
C:カウンセラーは「クライエントの新入社員とのコミュニケーションが足りないことを確かめたい」という自分の気持ちに動かされているから。
D:仕事以外のことというプライベートな部分にふれようとしているから。
E:新入社員ともっと話す機会を持つべきであるという指摘を暗に意図した発言であるから。
ア:A、B
イ:A、E
ウ:B、C
エ:D、E
オ:A、B、C
カ:B、D、E
キ:C、D、E
問題5:CO7の空欄に入る応答として、最も適切なものはどれか。
ア:新入社員の方々とは大変良いコミュニケーションが出来ているのですね。
イ:そうしますと、彼ら新入社員には何も問題がないと思いますが.....。
ウ:すばらしいですね。上司に対してそういった気遣いの出来る新入社員は少ないですよ。
エ:しかしながらその程度のコミュニケーションでは彼らの本当の考えや仕事に対する姿勢を理解するのは難しいですよ。
オ:新入社員の方々と良い関係を築くことが出来ているだけに、彼らにはもっと仕事に関心を持ってほしいとお考えなのですね。
問題6:CL9の発言に込められている思いのうち、最も適切なものはどれか。
ア:自分の意図がCOにうまく伝えられなくてもどかしい。
イ:もっと新入社員とコミュニケーションをとっておくべきだったという反省をしている。
ウ:本当は問題のある新入社員を責めたくはない気持ち。
エ:雰囲気の良い職場に隠された問題点を話してしまうことへの迷い。
オ:向上心が欠けている新入社員に対するいらだち。
問題7:クライエントが伝えようとしていることに関して、ここまでの面接結果から判断して、最も適切なものはどれか。
ア:新入社員ともっとコミュニケーションをとりたいのだがなかなか相手にしてくれないことに対する不満。
イ:申し分ない働きをする新入社員に対して、自分が何か指示を与えたり注意したりする機会が持てないことに対するいらだち。
ウ:新入社員に対して、仕事にもっと興味や関心を持ってのぞんでほしいにもかかわらず、それがなかなか新入社員に分かってもらえないことに対する不満。
エ:新入社員にはもっと仕事に対して興味や熱意を感じてほしいが自分がそれを指摘することで今の良い状態を崩してしまうのではないかという不安。
オ:部内の雰囲気をもっと良くさせようと考えているにもかかわらず、どうすればそう出来るのかわからないことに対する焦り。
問題8:ここまでの面接結果から判断して、クライエントの状態を最も適切にあらわしているものはどれか。
ア:クライエントは最初から自分の悩みに気付いているが、それをなかなかカウンセラーが理解してくれないので困っている。
イ:自分の中に迷いがあるため、問題点をうまく表現出来ずに困っている。
ウ:クライアントは最初は自分の悩みに気付いていなかったが、話をしているうちに徐々にそれに気付くようになってきている。
エ:特にクライアントは深刻な悩みをかかえてはいないが、自分の中に不満やいらだちがあるためそれをクライエントに対して表現しようとしている。
オ:一見すると何も問題が無いような状態の中に実は大きな問題が隠されていることについて、不安や恐怖のあまりにうまく表現が出来ていない。
逐語記録1-2 次の逐語記録を読み、問題に答えなさい。
クライエント(CL):メーカーB社所属の顧客対応マネージャー (女性33歳)
カウンセラー(CO):B社に所属するカウンセラー (男性43歳)
CL1:こんにちは、入社の際にお世話になったXXです。
CO1:これはこれは、お久しぶりです。その後どうされているのかと気になっていました。
CL2:先生もお変わりないみたいで.....お元気そうで何よりです。
CO2:いえいえ、そちらこそお元気そうで、良かったです。確か今は新製品の顧客担当窓口をされていると聞きましたが........。
CL3:そのことでちょっとお話したくて、本当は心配かけちゃいけないかなって思ってたんですけど、周りの人も色々と心配するもんだから......。
CO3:今日はどなたかのアドバイスがあってここにいらしたんですか。
CL4:そうですね。実は先輩が心配してくれて.....最近ちょっと不眠症で病院に行こうかとも思ってたんですけど、なかなか時間がとれなくて。眠れないから昼間に突然眠くなってうっかり仕事中に寝てしまったり、ボーっとしてて何もしていない事があって.....同じ課の先輩が一度カウンセリングを受けた方が良いよって言ってくれたんです。
CO4:眠れないのですか......いつ頃からそういったことはありましたか。
CL5:昨年末くらいからです。それまではうちの会社の新製品のクレーム対応で毎日忙しくて.....帰宅が夜中になることがほとんどでしたので家に帰るとすぐに眠れたんですね。
CO5:帰宅が夜中になるくらい忙しかったのですね。その頃の残業時間はどのくらいだったのでしょうか。
CL6:だいたい月に100時間くらいでしょうか.....休日出勤を含めるともっと多いです。
CO6:それは大変でしたねえ。今はどのくらいの残業時間ですか。
CL7:月に70~80時間くらいです。一時期にくらべるとだいぶ少なくなりました。
CO7:それでも月に70~80時間っていうのは多いですね。
CL8:製品のお客様からのクレーム対応って仕事は言ってみれば終わりのない作業みたいなもので....一つ片付くとまた次のクレームがきて.....出口の見えないトンネルにいるみたいな感じです。
CO8:なるほど.....それで今でもそれだけ残業時間が多いわけですね。
CL9:昨年まではそれでも新製品が出荷されたばかりだったので製品の信用をおとさないように頑張ることが出来たんですけど......今年にはいって少し落ち着いてきたら何だかやる気が出なくて.....すぐに疲れちゃうんです。
CO9:[ ]
CL10:よくわからないんです.........すごく忙しいときはあんなに頑張れたのに今は全然やる気が起きないんです。
CO10:[ ]
CL11:あの時は会社も新製品を出したばかりで活気もあったし......だけど最近はお客様からのクレーム対応が遅くなったせいかお客様から激しい文句を言われることもあります。上司からはクレームの迅速な対応をすると残業が多くなったり、色々とコストがかかるので、「経費を節約しろ!」と文句を言われます。自分で一体どうしたら良いのかわからなくなります。
CO11:それだけ残業をしても評価されることもないというはつらいですね。
CL12:そのうちに.....もうどうでも良くなって....クレームの対応が一件終わっても嫌なことが一つ減ったくらいで何も充実感が無くて......それからですね、やる気がなくなったのは。ただ......同じ仕事をしている仲間や先輩に迷惑がかかるといけないので仕方なく仕事に行くんですけどね。
CO12:仕事に行くのは嫌でも仲間や先輩に迷惑がかかるのが嫌だから仕事に行くんですね。
CL13:そうですね。でも最近は会社に行くときの電車の中で......大震災がおきて会社なんて無くなってしまえばどんなに楽だろうとか思ったりして.....やっぱり私は何か頭がどうにかなっちゃったのかな.....そこまで考えたことなんて無かったのに...........。
CO13:[ ]
CL14:すみません.......こんなつまらない事相談して.......私は........私はそんなに弱い方じゃなかったんだけどなあ...................。(下を向いて涙をこぼして泣いている。)
CO14:かなり今までもつらかったでしょう。やはり一度心療内科を受診して、必要であれば少し会社を休んでみてはいかがでしょうか。
CL15:やはり医者にいかないとだめですか......。
CO15:そうですね。お話を聞いた限りではうつの症状に近いと思われます。
CL16:うつの症状って.........うつ病ってことですか。
CO16:そうですね。不眠やひどい疲れはうつの症状にはいります。やる気がなくなっている一方で仲間や先輩に迷惑をかけたくないと思ったり、急にボーっとしたり、急に泣きたくなったり、それから会社が無くなってしまえば良いとか考えてしまったり.......うつの症状とはそういうものです。心療内科やクリニックを受診されてお薬を飲めばだいぶ楽になりますよ。
問題1:CO1の発言で用いられた面接技法として適切なものはどれか。
ア:解釈
イ:事柄への応答
ウ:場面構成
エ:開かれた質問
オ:閉ざされた質問
問題2:CL8の発言に込められている思いのうち、適切なものはどれか。
ア:クレーム対処という仕事は文句を言われることばかりで本当に気が滅入るものなのです。
イ:クレーム対処という仕事は他の仕事と違って終わりが見えてこないので、つらい仕事ですが、それでも責任の重い仕事なのです。
ウ:次々に仕事が来るのでその都度充実感が得られるのがクレーム対処という仕事の醍醐味です。
エ:暗いトンネルの中でどうしてよいかわからずに暗中模索して、やっと答えを見つけるとまた新しい難題が見えてくる。クレーム対処っていうのはそういう仕事なのです。
オ:クレーム対処という仕事はいつまでたっても終わりが見えないので、精神的につらいのです。
問題3:CO9の空欄に入る応答のうち、最も適切なものはどれか。
ア:やる気が無いのですね。
イ:新製品が出てきた頃にはあんなに頑張っていたのにねえ。
ウ:段々と仕事が落ち着いてきたら、やる気が無くなってきたんですね。
エ:クレーム対処という仕事は自己のモチベーションを保つのが本当に大変な仕事です。
オ:やる気が無くなった原因は何ですか。
問題4:CO10の空欄に入る応答のうち、最も適切でないものはどれか。
ア:今のお仕事の状況はどうなのでしょうか。
イ:忙しい時期に気力も体力も消耗してしまったみたいですね。
ウ:それは困りましたねえ。
エ:やる気が無くなった原因は何ですか。
オ:やる気が無いのではお話になりませんよ。
問題5:CL11の発言はCLのどのような状況を表したものであるか。適切なものはどれか。
ア:回避---回避型の葛藤
イ:接近---回避型の葛藤
ウ:うつの症状
エ:自己嫌悪
オ:「離隔」に分類されるストレスからの回避
問題6:CO12の発言で用いられた面接技法として適切なものはどれか。
ア:明確化
イ:感情の反映
ウ:事柄への応答
エ:開かれた質問
オ:閉ざされた質問
問題7:CO13の空欄に入る応答のうち、最も適切なものはどれか。
ア:会社が無くなってしまえばいい..そんなふうに思ってしまうくらい思いつめていたんですね。
イ:早朝に疲労感が残ったまま行動すると幻覚を見たりすることがあります。
ウ:すみません....おっしゃっている意味が良く分からないのですが。
エ:会社が無くなってしまうと今度はあなたが困ることになりますから、どうかそんなお考えは控えてください。
オ:それは....大変良くない状況です。やはり正しい医師の診断を受ける必要があると思います。
問題8:CL16の発言の背後にある感情のうち、適切でないものはどれか。
ア:まさか自分がうつ病だなんて.....。
イ:うつ病だとしたら....不安だなあ。
ウ:うつ病のことだったら良く知っているよ。
エ:今の自分の状態はそんなにひどいのか.....。
オ:私のどこがうつの症状なのだろうか。
問題9:CO16の発言の意図として最も適切なものはどれか。
ア:CLに今の状況を自覚してもらい、更にCLに対して安心感を与えようとしている。
イ:CLの今の状況を客観的に分析し、早期解決策を促している。
ウ:カウンセリングの業務範囲を超えてしまうことがないようにCLから少し距離をおこうとしている。
エ:うつ病の大変さをCLに対して自覚させると共にうつ病の治癒についても説明することで今の状況の重大さと安心感を同時に認識させようとしている。
オ:うつ病になってしまったことへの責任を感じさせ、自己解決をどのようにするべきかの提案をしている。
問題10:このカウンセリング・プロセスについて述べた記述のうち最も適切でないものはどれか。
ア:CLは自分にうつの症状が出ていることに気付いていないがカウンセリングによって自分の状態の悪さを改めて認識している。
イ:CLが現在のような状況に至った経緯が明らかにされている。
ウ:CLは今のクレーム対処の仕事に対して完全にモチベーションを失っている。
エ:問題の根底はやる気を失っている状況を反省しようとしないCLの無責任さにある。
オ:クレーム対処という職種も、うつの症状の原因の一つになっていると考えられる。
問題11:その後のCLへの対応として最も適切なものはどれか。
ア:うつ病であるという事をCLは自覚していなかったので、CLではなくCLの家族に直接相談し、同意を得た上でCLを心療内科やクリニックにつれていく。
イ:うつ病の対処方法を説明し、安心感を持たせ、CLが自発的に医師の診断を受けることをすすめる。
ウ:仕事を休み続ける事が無いように休日診療が可能なクリニックを紹介し、短期解決に向けてCLと何度か面接を行う。
エ:リスクマネジメントの観点から、うつ病の患者が出たことを職場の関係者に報告し、その後のCLの行動を注意深く監視すると共に再発防止策を考える。
オ:CLがうつ病であることが医師によって診断されたわけではないので、簡単な診療が出来るクリニックを紹介し、早期解決のためにその後は2、3日毎に面接を繰り返し行う。
問題12:産業カウンセリングの中で職場のメンタルヘルスへの援助は重要な課題である。このようにメンタルヘルス不調者に対応するため、カウンセラーが日頃から行っておくべき事について、適切なものの組み合わせはどれか。
A:クライエントにあった医療機関を紹介することが出来るように様々な医療機関とネットワークを持っておく。
B:クライエントの不安をやわらげ、クライエントが安心して受診を行うことが出来るように、うつ病やその他の関連する疾病に関する症状、種類、治療法についても知っておく。
C:クライエントが休業しなければならなくなった場合に職場関係者に対して速やかに対応を促すことが出来るように職場関係者からも信頼を得ておく。
D:職場でのメンタルヘルス教育を積極的に行い、研修等を通じて、うつ病やその他の悩みに対してどのように対処したらよいかを説明する。
E:職場におけるストレスに対して早期発見、早期対応が可能となるように職場におけるストレスの種類やその解決方法についても熟知しておく。
ア:A、B、D
イ:B、D、E
ウ:A、C、E
エ:C、D、E
オ:全て適切である。